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分析・評価・解析

評価・分析・解析
AFMによる微細加工パターンの付着性解析

電子デバイスの発展とともに、シリコン材料を主体とした微細加工技術(リソグラフィ)が進展してきた。基板のエッチングには、高分子材料を主体としたマスクが用いられる。デバイスの設計ルールの縮小化に伴い、高分子パターンと基板との付着性の確保が重要となってきている。微細領域でのパターン付着性は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて直接解析できる。ここでは、河合研究室が開発した付着力解析法と事例を紹介し、その有効性を検証する。

電子ビーム(EB)照射によって作製したレジストパターン(60nm線幅)
電子ビーム(EB)照射によって作製した
レジストパターン(60nm線幅)

IT産業の発展上、今後、電子デバイスに用いられる微細加工技術は、ナノサイズをクリアすることが求められる。そのために、様々なリソグラフィ技術が開発および実用化されつつある。右図は、電子線(EB)で描画して作製した線幅60nmのライン高分子パターンを示している。このような微細サイズになると、形状観察や品質管理などにおいて、高分解能の電子顕微鏡や走査型プローブ顕微鏡(SPM)が必要になり、高分子材料開発だけでなく周辺技術の進歩も重要な要素となる。しかし、下図のように、現在のリソグラフィプロセスでは、微細高分子パターンの基板からの剥離が問題になっている。このパターン剥離は、パターンを現像する際のリンス処理において、パターン間に存在するリンス液(純水)のラプラス力に起因している。また、この剥離したパターンは、その後のエッチングマスクとしては不十分であり、デバイス不良の原因となる。近年では、現像工程だけでなく、その後の真空下で行われるエッチング工程でもパターンが剥離する。よって、高分子パターン自体の凝集性を高め、剥離要因に対する機械的な強度の確保が重要となる。ここで、高分子パターンの剥離現象に関与する要因を考察する。物理的要因として、高分子材料、高分子基板界面、基板材料などにおける複数の要因が同時に関与する。付着性の改善には、これらの要因を定量化し解析することが重要になる。現在のところ、高分子パターンの剥離現象は、関与する要因の多さに比べて、得られる実験的情報が少ないため解決に時間がかかる。

ラプラス力による微細パターンの剥離
ラプラス力による微細パターンの剥離
AFMによるレジストパターン剥離
AFMによるレジストパターン剥離

河合研究室では、AFMを用いて、微細高分子パターンの付着性および凝集性の定量的な解析技術を開発している。右図はAFMによる高分子パターンの剥離試験(DPAT:Direct Peeling method by using AFM Tip)法の概略を示している。AFMの微細探針を用いると、パターン上の任意の場所に直接荷重を加えることが可能となり、かつ、その場観察でパターンの剥離性を解析できる。まず、(a)のように、AFMにより高分子パターンに荷重を加えずに形状を観察する。この像から、パターン内の荷重印加点を決定する。この場合、高分子パターンおよび探針には、変形およびクラック等は生じさせない。次に、(b)において、探針の先端をパターン上の荷重印加点に接触させて、パターンに荷重を加える。このとき、カンチレバーの変位は光学系により制御されている。探針を移動させて荷重をさらに加えることでパターン変形および剥離が生じる。この場合に探針から加えられた荷重は、探針の変位とばね定数から換算できる。最終的に、基板からのパターンの剥離および高分子残渣形成を確認する。このように、本手法は、微細パターンに直接荷重を加えて、付着・凝集特性を解析できることが特徴である。次に、AFMによって測定した微細高分子パターンの付着・凝集性の具体例を示す。

レジストパターン配列
レジストパターン配列
DPAT法による剥離感度
DPAT法による剥離感度

倒壊剥離後のレジストパターンのSEM写真(4万倍)
倒壊剥離後のレジストパターンの
SEM写真(4万倍)

ここでは、365nmの紫外線(i線)に感度を有するポジ型高分子材料を使用して微細パターンを作製した。この高分子パターンは、ノボラック樹脂、感光剤、溶剤の3成分から成っている。一辺600nmの正方形マスクパターンを高分子膜中に転写し、TMAH(tetramethylammoniumhydroxide)2.38%水溶液中に浸し、露光部の溶解除去を行った。そして、熱処理は150~300℃までの各温度でホットプレートを用いて5分間行い、高分子パターン全体を硬化させた。上の左図はAFMにより観察した高分子パターン配列を示している。リソグラフィで作製したパターンが規則的に配列している様子が分かる。上の左図は、DPAT法によるパターン破壊時の感度を検証している。この場合のパターンの剥離荷重は7.040nNであったが、6.953nNの荷重の場合はパターンの倒壊は生じていない。よって、本手法を用いた付着荷重の測定分解能は約0.08nNであるである。これは付着力試験法としては、高い分解能である。右図は、基板から剥離した高分子パターンのSEM像を示している。個々のパターンが倒壊している様子が分かる。また、ほとんどのパターン倒壊は基板上に残さを形成しないため、高分子材料の凝集破壊は生じていない。下の左図は、高分子パターンの剥離荷重の熱処理温度依存性を示している。DPAT法による試験では、熱処理温度の増加に従い剥離荷重(●)も増加しているため、高分子パターンと基板との付着力の増大を表している。実験的には、約3桁の付着力増加が確認できる。この付着力の増大は、表面エネルギーの増大やフォト高分子材料の硬化などが顕著に反映している。従来の付着力評価法である引張り破壊試験の結果(○)も、DPAT法と同じ傾向を示しているが、付着力の増加は1桁程度である。これは、下の右図にあるように、破断面が界面破壊と凝集破壊の混合破壊となるため、測定感度が鈍ったことに起因する。よって、局所測定であるDPAT法では、測定感度も増加させる効果がある。

レジストパターンの破壊荷重のレジスト熱処理温度依存性
レジストパターンの破壊荷重の
レジスト熱処理温度依存性
引張り試験による混合破壊
引張り試験による混合破壊

ここでは、AFMを用いたナノスケールの微小固体の付着・凝集および表面特性解析について述べた。AFMの微細探針を用いて荷重を加えるDPAT法により、微細高分子パターンの付着力解析を定量的に解析することができる。

参考文献

  • Binnig. G, Quate. C. F and Gerber. Ch; Phys. Rev. Lett, 56, 930 (1986).
  • Akira Kawai, "Collapse Behavior of Micro Resist Pattern Analyzed by Tip Indentation Method with Atomic Force Microscope", J. Vac. Sci & Technol. B17, 1090-1093 (1999).
  • 河合 晃, "原子間力顕微鏡(AFM)を用いた微細探針走査法によるフォト高分子微細パターンの接着性解析", 日本接着学会誌、36, 2-9 (2000).
AFMによるナノ気泡・ナノ液滴解析
AFMによるナノ気泡観察
AFMによるナノ気泡観察

通常、液中での気泡観察に、光学顕微鏡がよく用いられる。しかし、その解像限界は約0.5μm程度であり、それより小さいサイズは観察できない。また、レーザー散乱法によって、液中の気泡数をカウントする装置も存在するが、気泡形状までを把握することはできない。そこで、AFMを用いることにより、光学顕微鏡では観察できなかったナノ気泡を解析することが可能となる。河合研究室ではこれまでに、様々なナノ気泡の観察を行ってきた。右図にはAFMの基本構造を示している。AFMはナノスケールで制御できるピエゾステージ、気泡を検出するカンチレバー、カンチレバー変位を検出する光学系から構成されている。カンチレバーの先端には、微弱な相互作用を検出するためのAFM探針が装着されている。最近は低価格のAFMもあり、教育機関での実験・実習にも幅広く取り入れられている。下図は、基板上に付着したナノ気泡のAFM像を示している。一般に、AFMで観察できる像は、気泡と微粒子(固体)との区別がつきにくい。実際には、両者ともよく似た凸像として観察される。このナノ気泡の同定には、AFMの探針と気泡間に生じる相互作用力を用いる。これには、フォースカーブと呼ばれる特性を、気泡と固体に対して測定する。

ナノ気泡のAFM像
ナノ気泡のAFM像
ナノ気泡および固体表面でのフォースカーブ
ナノ気泡および固体表面でのフォースカーブ

右図には、ナノ気泡上と固体表面で測定された液中のフォースカーブを示している。ナノ気泡上には僅かに斥力が働いているが、固体表面では大きい引力が作用している。これは、Lifshitz理論によって、気泡と固体表面の相互作用力に差が生じることで説明できる。下図には、この場合の測定系の構成を示している。ここで、注目するのは、探針/純水/気泡、あるいは固体の系である。すなわち、系の屈折率の大きさが順序になっている場合は斥力が働き、それ以外の系では引力となる。液中の気泡観察のケースは、相互作用力が正の値となり斥力となる。よって、AFMでの像取得後に、像中心における相互作用を測定し、その斥力および引力を解析することでナノ気泡の同定ができる。このように、AFMはナノスケールでの微小気泡の付着凝集挙動の解析に有効な機器となることが分かる。

相互作用力解析(Lifshitz理論)
相互作用力解析(Lifshitz理論)

以上のように、AFMを用いることで、ナノ気泡の形状を明らかにできる。ここでは、さらにAFMの特性を活かし、ナノ気泡の付着特性を解析する。河合研究室ではこれまでに、AFMを用いて、微小パターンや微粒子などの付着性を解析するDPAT法(Direct Peeling Method by using AFM Tip)を確立し、微小気泡の付着凝集性の解析へ適用してきた。下図は、レジスト膜上に付着したナノ気泡のAFM観察像である。ここでは、これらのナノ気泡にAFM探針をアプローチして、分離と移動を試みる。AFM探針の制御により、ナノ気泡を分離して移動させた様子も示している。ナノ気泡の分離に要した力をフォースカーブにより解析すると、約3nNとなり非常に微弱な力であることが測定できた。このように、ナノスケールでの微小気泡の制御においても、AFMは有効な解析手段といえる。

AFMの探針によるナノ気泡の分離
AFMの探針によるナノ気泡の分離

AFMを用いて、ナノ気泡だけではなく、ナノ液滴の観察が可能である。下の左図はマイカ(雲母)板のへき開表面に、飽和水蒸気下の環境で凝縮して形成したナノ液滴の観察像である。マイカのへき開表面は結晶格子間の結合力の弱い面が破壊するため、結晶面が露出し極めて平坦な表面となる。よって、基板の表面凹凸ではなく、明確にナノ液滴を確認することができる。観察できたナノ液滴のサイズは119nmであり、接触角は26度である。このように、ナノサイズ領域においても液滴は形成されるため、熱力学的な取り扱いが可能である。ただ、ここでもサイズ効果を考慮する必要がある。下の右図は、純水液滴のサイズ依存性を示している。基板はマイカとSi基板である。液滴サイズの減少とともに、接触角が増大する様子が分かる。これは、サイズの縮小に伴い、表面特性が優勢となるため、液滴がより球形に変形するように働くためである。よって、表面張力は同じであっても、液滴サイズが小さくなると、濡れ性が低下することを示している。そのため、微細加工を主体とする製品などは、さらに濡れ性が低下するため品質への影響を考慮する必要がある。ここでは、ナノスケールの物質に対する取り組みにおいて、AFM解析の有効性を示した。

マイカ上の微小液滴のAFM像
マイカ上の微小液滴のAFM像
純水液滴のサイズ依存性
純水液滴のサイズ依存性

参考文献

  • Akira Kawai, "Condensation Behavior of nanoscale bubbles on ArF excimer resist surface analyzed by atomic force microscope", J. Photopolymer Sci. Techno.,, 18(3), 349-354 (2005).
  • Akira Kawai, "Removal mechanism of nano-bubble with AFM for Immersion Lithography Microelectronic Engineering", 83, 655-658 (2006).
  • Akira Kawai, "Condensation Mechanism of Micro Bubbles Depending on DFR Pattern Design", Microelectronic Engineering, 83, 1167-1169 (2006).
AFMを用いた微小固体のヤング率測定
レジストパターンのSEM写真(直径85nm)
レジストパターンのSEM写真
(直径85nm)

高分子パターンの強度設計のために、パターン自体の機械的特性を直接測定する必要がある。特に、固体材料のヤング率(弾性率)は、変形・硬さ・破壊を解析する上で重要な物性値である。ヤング率の測定は、通常、薄膜あるいは棒状の試料を用いて応力-歪特性から求める。しかし、微細な高分子パターンのヤング率を実測することは困難であった。ここでは、AFM探針を用いて基板上に形式されている高分子パターンに直接荷重を加えることでヤング率を実測する。右図には、高分子パターンの電子顕微鏡(SEM)写真を示している。この高分子材料の主成分はスチレン系の樹脂である。この高分子パターンは、円筒形に近い形状を有しており、ヤング率測定に適している。

レジストパターンとAFM探針との連結ばねモデル
レジストパターンとAFM探針との連結ばねモデル

まず、AFMを用いて高分子パターンのヤング率を直接解析する手法について述べる。上図に、高分子パターンのヤング率解析の概要を示している。AFM探針と高分子パターンを連結ばねモデルとして近似することで、弾性特性を解析している。これによると、系全体のばね定数ktotalは下式(1)のように表すことができる。

式          (1)

但し、

式

レジストパターンの荷重―変位曲線
レジストパターンの荷重―変位曲線

ここで、kt はカンチレバーのばね定数、E は高分子パターンのヤング率、I は断面2次モーメント、 l はパターン高さである。AFM探針により直接荷重を加えた場合のパターンの変形特性を連結ばねモデルに基づき解析する。右図は、円筒形の高分子パターンに対してヤング率を解析した結果を示している。図中、曲線は式(1)で得られる基本特性であり、高分子パターンのヤング率をパラメータにして計算されている。これにAFMで実測したパターン変形率をプロットすることで、高分子パターンのヤング率を求めることができる。右図の場合、高分子パターンのヤング率を1.2GPaとして決定することができる。この値は、ポリスチレン(2.7~4.2GPa)、ポリエチレン(0.4~1.3GPa)などの高分子材料に近い値である。

今後、高分子パターンのようなミクロな構造体の物性および特性の信頼性の確立が求められるAFMに代表される微細領域での解析技術の重要性は、さらに高まると考えられる。

参考文献

  • Akira Kawai, Norio Moriike, "Adhesion and Cohesion Analysis of ArF/SOR Resist Patterns with Microtip of Atomic Force Microscope (AFM)", J. Photopolymer Science and Technology, 14, 507-512 (2001).
相互作用力を実測し付着力を推定する

界面の付着とは、付着要因と剥離要因とのバランスに基づく安定状態を意味する。付着状態を維持するには、付着要因が優勢となる必要がある。付着力の起源は、表面に存在する分子間の相互作用に起因する。溶剤を蒸発させる程度の熱処理では、表面間の化学結合は生じにくい。そのため、付着力を増大させるには、作用する表面の分子数密度と分極率を高め、かつ、相互作用距離を短くすることが効果的である。ここでは、界面の付着現象をミクロレベルに掘下げて、その要因を解析する。また、界面の実効接着面積について考察する。さらに、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、実際の表面間の相互作用力を解析し、未知の表面間の付着力を予測する。

界面付着に関わる要因
界面付着に関わる要因

界面の付着要因には、水素結合やファンデルワールス力に代表される分子間力、表面エネルギー、表面の凹凸に起因するアンカー効果、境界水に働くラプラス力などがある。また、剥離要因には、熱膨張の差に起因する熱応力、結晶格子の界面歪みによる真応力、界面のナノ空隙、塗膜への溶液浸透などが考えられる。これらの要因が単独で作用することは少なく、複数の要因が同時に作用する。界面の付着状態は、右図のように、付着要因が優勢であれば維持され、剥離要因が上回れば界面は分離する。これらの要因は、単位面積当たりのエネルギーとして解析し、定量的な界面評価が可能である。付着トラブルの対応策として、付着力の増大よりも、応力などの剥離要因の緩和が効果的であるケースが多い。また、塗膜や基板の凝集破壊が剥離原因である場合、基板の表面処理は効果的でない。よって、付着トラブルが生じた場合、剥離界面の観察を最優先し、破壊起点や剥離モードなどのデータ収集がトラブル解決策に必要である。

基板上に塗膜がコーティングされると、その付着界面を観察するのは難しい。通常、付着面積は塗膜と基材の接触面積が用いられる。しかし、塗膜界面の全てが付着に寄与しているとは限らない。ここでは、付着界面を詳細に観察する。下の左図は、原子間力顕微鏡(AFM)の微細探針を用いて、シリコン基板上に形成された微細レジストパターンを倒壊させた写真である。レジストパターンの線幅は0.6μmで高さは1.0μmである。このレジスト材料は、ノボラック樹脂、感光剤、溶剤の混合物である。パターン倒壊により、これまで観察できなかったパターン底面が確認できる。パターン底面には微細な窪みが多数存在しており、これらの構造は基板との界面付着に影響すると考えられる。パターンが付着していたSi基板表面にはレジスト残さはないため、パターン倒壊はパターンの凝集破壊に起因するものではない。すなわち、塗膜の乾燥時に残留溶剤が蒸発した際に、このようなポーラス構造が形成されたと考えられる。界面にポーラス構造が存在すると、下の右図のように、基板との相互作用距離が局所的に長くなり、界面の付着に寄与しなくなる。よって、レジストパターンとシリコン基板間の実効付着面積は低くなる。下の左図の場合の実効付着面積は50%程度である。次に、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、界面における相互作用力および付着力を直接解析する。

界面の付着構造(SEM写真)
界面の付着構造(SEM写真)
付着界面モデル
付着界面モデル

AFM装置の基本構成
AFM装置の基本構成

原子間力顕微鏡(AFM)に関する初期の研究は、測定の分解能や安定性の向上、および探針と表面間の相互作用に関する基本的な研究が多かった。しかしながら、現在では、下の左図に示されるような様々な分野の応用技術の解析手段として用いられる。ここでは、まず、右図のAFMの装置構成について説明する。AFMは、次の三つの要素から構成されている。(ⅰ)ナノメーターの精度で試料位置を三次元に移動できるピエゾ素子、(ⅱ)試料表面の相互作用力を検出するカンチレバーおよび探針、(ⅲ)カンチレバーのたわみ量を検出するレーザー光学系。ここで、カンチレバーにはSi3N4膜などが多く用いられ、その長さは200μm、厚さは20μm程度である。その先端には、長さ20μmで先端曲率半径25nmのピラミダル型の微細探針がマウントされている。探針の先端角は69°である。これらの探針先端のSEM写真を下の右図に示す。

AFMの応用分野
AFMの応用分野
AFM探針のSEM観察像
AFM探針のSEM観察像

AFMによる付着力測定の基本となるフォースカーブについて説明する。下の左図はフォースカーブの一例を示している。これは横軸にピエゾステージの移動距離をとり、縦軸にレバーのたわみから換算した力(引力と斥力)を示している。ここで、カンチレバーが試料側にたわんでいる場合を引力とし、逆に反る場合を斥力として定義する。今、試料が探針から十分に離れている場合、レバーのたわみはゼロである。その後、ステージが上昇して探針に試料表面が近づくと、探針は試料表面に引き込まれて接触する。この時の力F1(N)をjump-in力と呼ぶ。さらにステージが上昇すると、カンチレバーは水平位置を過ぎて、上向きに反ることになる。実際の固体表面形状の観察は、この状態で行われることが多い。このとき、0.1N/m程度のばね定数を有するカンチレバーで表面測定をした場合は、試料表面を傷つけることなく測定することが可能である。その後、再びステージを下げると、水平位置を過ぎても探針は試料表面に吸着したままとなる。そして、最大の吸着力を示した後に、探針は試料表面から離れることになる。これが一連のカンチレバーの動作となる。光学系により測定したカンチレバーの撓みとばね定数から、探針の最大の吸着力F2(N)を求めることができる。この最大の吸着力は、一般に、pull-off力、あるいは、jump-out力ともいわれているが、二物体間に働くファンデルワールス(vdW, van der Waals)相互作用における引力の最大値に相当する。vdW力はあらゆる物質の表面間に働く電子雲の重なりを伴わない相互作用力であり、一組の電気双極子間に作用する。よって、電気双極子モーメントを生じるあらゆる物質間、原子間およびプラズマ間に対して、基本的に作用する力である。AFMの探針と試料間のvdW相互作用においても、同様なメカニズムが成り立つ。微小凝集体のvdW力の測定として、Larsonらのように,直径10μm程度の球状粒子をカンチレバーに取り付け,溶液中での粒子の付着挙動をDLVO (Derjaguin-Landau-Verwey-Overbeek) 理論を用いて解析した報告も多くされている。

フォースカーブ
フォースカーブ
探針の吸着力と表面エネルギー成分との相関
探針の吸着力と表面エネルギー成分との相関

AFM探針の吸着力と固体の表面自由エネルギーとの相関について考察する。上の右図は接触角法で測定した各薄膜の表面自由エネルギーの分散および極性成分と、AFMで測定した探針の吸着力との関係を示したものである。吸着力Fは極性成分γpに強い相関を示し、分散成分γdにはあまり感度を有さないことがわかる。結果として、各成分の和である表面自由エネルギーγは、吸着力Fに正の相関を示すことになる。これは、探針の材質であるSi3N4の極性成分γpが分散成分γdに比べ高いため、固体表面の極性成分γpの変化に敏感に対応したものと考えられる。よって、AFM探針を用いることにより、固体表面の極性および分散成分などの相互作用の解析が可能になる。

AFMにより測定した親水化および疎水化Si表面での相互作用
AFMにより測定した親水化および
疎水化Si表面での相互作用

単分子層を形成するHMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理による表面に対して相互作用力を解析する。この疎水化表面は、純水の接触角で100度程度を示す。また、酸素プラズマ処理を施したSi基板も用いる。この処理は、純水の接触角が0度を示す極端な親水化表面となる。これらの基板を用いて、AFM探針と疎水化・親水化表面との相互作用を解析できる。右図は、AFM探針の相互作用力の測定結果を示している。レナード・ジョーンズポテンシャルカーブに基づき、互いの距離が短くなるにつれて、相互作用力が変化している。また、相互作用曲線において、疎水化および親水化処理の影響が顕著に現われており、各固体の表面エネルギーの相互作用として定量解析できる。表面エネルギーγは分散成分γdと極性成分γpとの和として表すことができる。そして、相互作用エネルギーWは、以下の式のような各成分の二乗平均の和で表される。

式

ここで、HMDS単分子膜による疎水化処理は、γdを増加させる効果があり、酸素プラズマによる親水化処理はγを増加させる効果がある。これらをもとに、得られた相互作用をまとめると下図のようになる。極性成分の高いSi製探針は、極性の高い酸素プラズマ処理面との相互作用が高く、分散成分の高いAu探針は、HMDS処理による疎水化表面と強い相互作用を有する。

表面エネルギー成分により表した相互作用力解析
表面エネルギー成分により表した相互作用力解析
探針法による2表面間の付着力推定
探針法による2表面間の付着力推定

固体間の付着強度を非破壊的に推定することは、研究および産業上有用である。ここではAFM探針と固体表面との相互作用を利用して、未知の表面間の付着強度を推定する。左図において、薄膜Aと薄膜B間の未知の付着力を推定する。ここで薄膜Cは、探針材料であるSi3N4薄膜である。AFM探針と三種類の薄膜間の相互作用を、それぞれEAC、EBC、ECCで表す。これらの値は、フォースカーブ測定により求められる探針の吸着力(pull-off力)に相当する。また、相互作用に寄与する各薄膜表面の因子を、それぞれEA、EB、ECとする。これらは、測定不可能な物理量である。ここで、これらのパラメータ間の関係を下式で表す。

式

よって、薄膜Aと薄膜B間の相互作用エネルギーEABは、下式で表される。

式

推定付着エネルギーと剥離強度との相関
推定付着エネルギーと剥離強度との相関

これにより、AFM探針により各表面での吸着力を測定し、EAC、EBC、ECCを求めることで、固体表面間の相互作用因子EABを計算で求めることができる。右図には上式で求めた相互作用エネルギー(推定付着エネルギー)と、引っ張り試験によるレジストと各薄膜間の接着強度との相関を示している。これら二つの物理量には正の相関がある事から、AFMにより未知の表面間の接着力を推定できる。

ここでは、付着現象に関わる相互作用力について、原子間力顕微鏡(AFM)を用いた解析を中心に解説した。表面処理や材質に依存した表面間の相互作用力を実測できることを示すとともに、これらを用いて、未知の表面間の付着力の推定が可能となる。このように、付着に関わる要因を直接測定することで、さらなる高品位な付着制御性が拡大する。

参考文献

  • Akira Kawai, "Characterization of Surface Energetic Behavior by Atomic Force Microscopy", Jpn. J. Appl. Phys. 31, L977-L979 (1992).
  • Akira Kawai, "Measurement Method of Adhesion Strength between Inorganic Materials and Polymer by Using Atomic Force Microscopy", J. Ceramic Society of Japan, 102, 1102~1104 (1994).
  • 河合 晃, "原子間力顕微鏡により検出した薄膜の表面力と表面自由エネルギー成分との相関”, 日本接着学会誌, 31, 237-240 (1995).
  • 河合 晃, "原子間力顕微鏡(AFM)を用いた微細探針走査法によるフォトレジスト微細パターンの接着性解析", 日本接着学会誌, 36, 2-9 (2000).
  • Akira Kawai, "Direct Measurement of Resist Pattern Adhesion on the Surface with Silane-coupling Treatment by Atomic Force Microscope (AFM)", J. Photopolymer Science and Technology, 14, 513-518 (2001).
  • Akira Kawai, "haracterization of SiO2 surface treated by HMDS vapor and O2 plasma with AFM tip", J. Photopolymer Sci. Technol, 16, 665-668 (2003).
水素結合成分による高分子膜の相互作用解析

塗膜の表面エネルギーは、付着、濡れ、被覆性などの重要な性質に強く関与する物理量である。通常、固体の表面エネルギーの2成分として、分散と極性成分を用いて解析する場合が多い。ここでは、極性成分の中の水素結合成分を分割して3成分として解析する。よって、付着エネルギーWaは次式のように表す事ができる。

式

式

ここで添字d,p,hは、それぞれ、分散(非極性)、極性、及び水素結合成分を表している。これらは、γの値が分かっている標準液を用いて各表面のエネルギー成分を求める事ができる。下の左図は接触角法で求めた無機基板表面の表面エネルギーの各成分、表面エネルギー、及びSi3N4探針に対する接着エネルギーを示している。分散成分は各基板間で大きい差はなく、約20mJ/m2の値となっている。又、有機物であるフォトレジストは大きい分散値を示している。極性成分は3成分の中で一番低い値を示しているが、各基板間の有意差が現れている。特にSi、Al又はHMDS処理をした基板では低い値を示し、SiO2, BPSG, Si3N4等の極性基板は比較的高い値となっている。水素結合成分は各基板間の有意差が一番大きい成分であり、その傾向は極性成分と似ているが値は大きい。固体の表面エネルギーはその極性、水素結合成分によって有意差が生じるが、分散成分には依存しない事がわかる。また、探針と表面間の接着エネルギーに関しても同様の事が成り立ち、接着エネルギーの有意差は主に極性と水素結合成分による事ことがわかる。

各基板の表面エネルギーと接着エネルギー
各基板の表面エネルギーと接着エネルギー
探針の引力と表面エネルギーとの相関
探針の引力と表面エネルギーとの相関

引力F2と表面エネルギー成分との相関
引力F2と表面エネルギー成分との相関

上の右図はAFMによる2つの表面力F1,F2と表面エネルギーとの相関を示している。探針が表面に近づく際に生じる引力F2と表面エネルギーには正の相関がみられている。高い表面エネルギーを有するBPSGやSiO2などは大きい引力値F2を示し、低い表面エネルギーを有するAlやSiに対しては低い引力を示す。すなわち、熱力学的な表面エネルギーは二物体が接触した際のエネルギー的平衡を主体としているため、二物体が離れている時の相互作用を表すものではない。よって二物体が離れている際の相互作用であるF1とは相関を示さないことが説明できる。又、引力F2はF1に比べ約100倍高い値を示している。また、引力F2が0の時に、表面自由エネルギーは約25mJ/m2の有限の値を示しているのがわかる。これより、表面エネルギーのある成分が探針と相互作用をしていないと考えられる。以上のように、探針によるプローブ法を用いる事によって、固体の表面エネルギーの検出が可能となる。右図には引力F2と表面エネルギーの各成分値との相関をしめしている。図より極性成分と水素結合成分は引力F2と正の相関を示す事がわかる。また、分散成分は引力F2に対し相関を持たず、よって上の右図のF2の引力値0の時の表面エネルギー25mJ/m2は基板の分散成分によるものであることがわかる。よって、探針プローブ法によって表面の極性及び水素結合の情報を得る事が可能である。ここで探針が固体表面間の引力より受ける弾性ポテンシャルエネルギー(すなわちカンチレバーの歪みエネルギー)を見積もる。歪みエネルギーEe次式の様に表すことができる。

式

式

ここで、σは引力により探針が受けるストレス、EはSi3N4探針のヤング率(2.94×1011N/m2)、dはカンチレバーの膜厚(1μm)、Fは表面力の測定値(N)、kはカンチレバーのバネ定数(0.12N/m)、l(エル)はカンチレバーの長さ(200μm)を示す。下の左図には引力F2よって探針がうける歪みエネルギーEeと熱力学的な接着エネルギーとの相関を示している。両エネルギー間には正の相関がみられ、よって探針プローブ方式を用いて実際の接着現像を検出できる可能性が得られる。表面エネルギーの場合と同様、接着エネルギーの分散成分には相関が見られないが、極性と水素結合成分に対し相関が見られる。下の右図には接着強度と接着エネルギー成分との相関を示している。これらの間は、同様に、分散成分には殆ど依存しない事がわかる。接着エネルギーと接着強度は正の相関を示すが、分散成分によるバイアスが存在しているため、検出感度が低くなっている。

探針の歪みエネルギーと接着エネルギーとの相関
探針の歪みエネルギーと接着エネルギーとの相関
接着強度と接着エネルギーとの相関
接着強度と接着エネルギーとの相関

参考文献

  • Akira Kawai, "Characterization of SiO2 surface treated by HMDS vapor and O2 plasma with AFM tip", J. Photopolymer Sci. Technol, 16, 665-668 (2003).
信頼性評価
コーティング膜の信頼性を解析する

塗膜は工業製品として重要な地位を占めているが、様々な欠陥や不良が特性劣化の原因となっている。これらの劣化の主要因は、熱、静電気、応力および紫外線などである。製品の信頼性および劣化モデルを構築することは、塗膜に限らず重要である。劣化モデルは活性化エネルギーを基本として考察できる。近年、加速試験の分野も充実しており、製品の寿命予測技術も確立されている。しかし、集積回路素子などの特殊な場合を除いて、食品、機器などの加速試験を全数行うことは稀である。ここでは、劣化モデル、活性化エネルギー、加速試験、寿命予測といった製品の信頼性に関わる内容について述べる。

下の左図は塗膜の故障(劣化)モデルの一例を示している。基板上に堆積された塗膜断面において、界面への水分浸透や膜表面の帯電などが起因して欠陥が生じる。また、これらの欠陥から新たに亀裂や腐食等が始まる。塗膜と基板との応力ミスマッチも劣化の原因となる。よって、製品の故障解析においては、塗膜および界面に起因する劣化を区別する必要がある。下の右図は塗膜の劣化写真を示している。塗膜表面の微細クラックや、水分浸透による膨潤が多数確認できる。このように、塗膜の劣化には様々なモードがあり、これらは活性化エネルギーに基づく経時変化として表せる。

塗膜のトラブル、不良、故障
塗膜のトラブル、不良、故障
塗膜の劣化写真
塗膜の劣化写真

物質の劣化の主原因は熱やスパークなどに起因する反応現象である。劣化の進展は、その反応が始まる閾値となる活性化エネルギーに依存する。ここでは、アレニウスの経験的化学反応速度論に基づいて、その概要を述べる。化学反応速度Kは、以下の式で表すことができる。

式

スパーク破壊の模擬試験
スパーク破壊の模擬試験

ここで、ΔE:活性化エネルギー (kcal / mol)、B:活性化エネルギー(eV) 、k:ボルツマン定数である。下の左表は一般的な不良が生じる際の活性化エネルギーを示している。活性化エネルギーが低いほど、その不良は生じやすい。各不良が生じるには、活性化エネルギーを超える外部エネルギーの供給が必要である。たとえば、薄膜のピンホールの原因は、スパーク等であり人体との接触により生じる。下の右表は人体および衣類などから生じる帯電量などをまとめている。ワイシャツや作業服などの帯電量は数キロボルトに及んでいる。このような局所的な高電圧により、指が塗膜に触れることで帯電電荷が塗膜へ移り放電が生じる。このような接触放電を試験する方法がある。右図は人体からの帯電電荷の放電試験回路である。人体に相当する静電容量C=200pF、抵抗R=10 kΩとした並列回路により構成している。これらの設備により、人体からのスパークに起因した塗膜の静電耐久性が評価できる。

故障メカニズムと活性化エネルギー
故障メカニズムと活性化エネルギー
人体の帯電電位
人体の帯電電位

故障におけるバスタブ曲線
故障におけるバスタブ曲線

このように、製品の劣化は、活性化エネルギーに基づき生じる。実際の故障の発生率は、その環境下での時間経過に大きく依存する。右図は、製品の使用時期に対する故障発生頻度を表すバスタブ曲線を示している。その曲線の形がバスタブ(風呂釜)に似ているため名づけられた。製品の不良発生は、一般的に、初期不良、偶発不良、摩耗不良の3段階のステージが存在する。製品の初期不良は、使用開始直後に生じる不良であり、作製時に含まれていた不良が原因となっている。これは時間の経過とともに急速に減少する。製品の信頼性を向上するには、まずは初期不良を撲滅する必要がある。実際の生産管理においては、加速試験を実施して初期不良品を除外して出荷する。一方、偶発故障はランダムに生じる不良である。この故障は、製品の性能に起因した故障であり、この範囲内で使用することが望ましい。また、寿命故障は、寿命に基づく故障として判断され、耐用寿命に近づくことで急激に増加する。製品の信頼性を高くするには、偶発故障率を低く、かつ、摩耗故障率に至るまでの期間が長いことである。

バスタブ曲線に基づいて故障発生頻度は説明できる。ここでは、故障メカニズムに基づく故障密度関数f(t)について述べる。故障分布確率f(t)は、指数分布、正規分布、ワイブル分布が代表的である。

まず、以下の式で表される指数分布について説明する。

指数分布
指数分布

式

ここで、λは故障率であり、良品に対する不良品の割合で定義される。多くの場合、故障率λは時間に依存せず一定である。この関数は右図のように表される。すなわち、時間経過とともに故障分布確率f(t)が低下する。また、この分布は、特定の不良要因に依存せずランダムに生じる不良を示す。バスタブ曲線においては初期故障に相当する。

以下の故障分布関数は正規分布となり、一般的な寿命に基づく摩耗故障を表している。

式


正規分布
正規分布

ここで、δは標準偏差であり、μは平均故障時間である。右図ように、ある時期に集中して不良が生じる場合に相当している。

以下の式はワイブル分布であり、一般的な故障解析に多く適用される関数である。製品内に点在する欠陥の中で、最も早く壊れる点によって決定される「ウィークリンクモデル」として理解される。

式

ここでmは形のパラメータ、t0は尺度のパラメータ、γは位置のパラメータを表す。実際の故障分布をワイブルチャートにプロットすることでmの値が求められる。そして、m=1の場合は、λは一定となり指数分布となり偶発故障に相当する。また、m>1の時は、λは増加関数となり、正規分布関数に近づき磨耗故障に相当する。そして、m<1ではλは減少関数となり初期故障に相当する。このように、故障状況をワイブル関数で解析することにより、バスタブ曲線の故障モードを診断することができる。

信頼性技術に基づいて、製品の寿命や故障確率を定量的に求めることは産業上で重要である。近年では、食品から電化製品に至るまで、細かく消費期限や保証期間が提示されている。ここでは、どのように製品の寿命を試験し予測可能となるのかを述べる。一般的に加速試験法とは、外部ストレスを加えて製品劣化を加速させることである。そして、評価時間の短縮が可能となり、実用条件下での寿命予測や故障予測を行う。この試験法には、一定ストレスを加えて故障時間分布を観測する定ストレス法と、 一定時間毎にステップ状でストレスを増加させ、故障発生を観測するステップストレス法とがある。下図はこれらの試験法の概略を示している。外部ストレスとしては、一般的に、環境温度および湿度、圧力、荷重などが選択される。

ステップストレス法と定ストレス法
ステップストレス法と定ストレス法ステップストレス法と定ストレス法

以上の加速試験の結果、以下の考えにより、製品の寿命が求められる。まず、標準使用条件として、温度T0を考え、その時の寿命がL0であるとする。そして、加速状態(ストレス状態)での温度と寿命をT1、L1とする。これらには、以下の関係式がある。

式

ここで、αT および⊿Eは、加速係数および活性化エネルギーである。よって、定常状態での寿命L0は以下のように表せる。

式

この手法は、塗膜の欠陥発生時間や退色時期の管理、および変形ひび割れなどの様々な耐性変化に適用できる。

ここでは、塗膜の信頼性解析技術について、故障モデル、発生確率、活性化エネルギー、寿命予測といった点に注目し紹介した。昨今、技術の安全性および信頼性の確保は最優先の課題となっている。信頼性といった言葉が一般的となり社会の注目度も高い。近年では、安全および信頼性分野が一つの学問体系として位置付けられており、この観点における技術者養成も重要となっている。

参考文献

  • URL: http://kawai.nagaokaut.ac.jp
  • 初等信頼性テキスト、日科技連